私は和食のレストランで週に2,3日アルバイトをしていますが、たまに天ぷらの下に敷く紙を折ることがあります。
その天ぷらの下に敷く敷紙(天紙)は、白い紙をただ半分に折るのではなく、ずらして折ってあることが多いですよね。
あまり考えずに既に折ってあるものを真似して折っていましたが、先日他の人が折ったものが折り方が違っていました。
その人は「折り方が反対です!」と注意を受けていました。
そのとき(あ、そうか向きがあるんだな)と気が付きました。
天ぷらの敷紙の折り方には決まりがあるのでしょうか?
調べてみたところ、天ぷらの下に敷く敷紙一つにも意味があり、料理を提供する側からのさりげない心遣いを表しているということを知りました。
そういうところが日本の文化の良いところだなぁって感じました。
そこで今回天ぷらの敷紙の折り方とその意味についてまとめてみました。
そして通常の折り方以外に、ちょっとおしゃれな折り方も見つけたので、ご紹介したいと思います。
参考にしてみてくださいね。
天ぷらの敷紙の折り方
さて早速ですが、天ぷらの敷紙の折り方をご紹介したいと思います。
慶事の折り方
弔事の折り方
わかりやすくと思い、形は正方形ですが折り紙を使って折ってみました。
普通は長方形で、長い辺のほうを縦になるように置いて、上に折ります。
写真の上が慶事の折り方で、通常もこの折り方です。
そして下は弔事のときの折り方なので、通常のときはこの折り方はしないことがほとんどです。
因みに法事は遺された親戚や知人たちが集まって、故人を偲ぶとともに、ご縁を感謝する意味があります。
なので必ずしも弔事の折り方でなくてもいいようです。
アルバイト先で注意されていたのは、このことだったんですね。
気が付かないかもしれませんし知らずに過ぎてしまうかもしれません。でももし知っている人が見たら、良い気持ちはしないですね。
因みにこの敷紙の表裏は、ツルツルした面が表になります。
ということはザラザラした面は裏ということになりますが、この面を表にしてしまうと、天ぷらに紙の繊維が付着してしまうことがあるので、表裏は気をつけたほうがいいです。
では慶事と弔事のときの天ぷらの敷紙の折り方の違いには何か由来があるのでしょうか?
次にそのことについて触れてみたいと思います。
敷紙の折り方の由来は?
上の写真でもわかるように、敷紙の折り方は慶事と弔事では逆になっていますね。
なぜ慶事のときは向かって左側が高くなり、弔事のときは右側が高くなるように折るのでしょか?
このことについては主に2つの説があります。
覚えておくと、もし必要なときがあっても、間違わずに済みますよね。
それにこのように相手への気遣いを天ぷらの敷紙でも表わそうとする、さりげない行為が日本らしくて素敵だと思います!
ぜひ覚えておきたいものです。
着物から来ている
着物を着るとき、普通自分の方からだと左側を上にします。これは相手からみると右側が上になっていて、これを右前といいます。
これに対して、右側を上にして着ると相手からみると左側が上になっていて、これは左前になります。
この右前と左前は、着物を着る機会が少ない人にとっては、ごっちゃになってしまいますよね。
説明すれば説明するほど、こんがらがってややこしくなってしまいます(汗)
でもご存知の方も多いと思いますが、左前の着物の着方は、亡くなった方に着せる着物の着方になってしまいます。また武士が切腹する時の死に装束もこの左前だったのだそうです。
このため左前の意味は死に関係してしまうのです。
このことから「運が傾く」「経済状態が悪くなる」という不吉な意味としても使われるようになりました。
よく商売などがうまくいかなくなり傾くことを「左前」と言うそうですが、それもこのことから来ています。
なので間違ってしまうと大変です。
この着物の右前、左前が天ぷらの敷紙の折り方の由来といわれています。
通常の天ぷらの折り方は、向かって右側の方に紙を傾けて折られているので、右前ってことになりますね。
逆に反対の向かって左側のほうに傾けて折ってしまうと、左前ということで弔事のときの折り方ということなんですね。
中国から来ている
そしてもう1つの由来は、中国に古くから伝わる言葉が由来といわれています。
中国に昔から伝わる「天子南面す」という言葉があります。(天子とは中国や日本の君主のこと)
これは、「天子は北を背にして座り、南を向く」という意味で、北を背にして座ると、左側が東になり、右側は西になります。
そして太陽は東から昇ってくることから、東の方向にあたる左側は神聖な向きとされ尊ばれました。
そのため天ぷらの敷紙を折ったときも、向かって左側の角が上になるように折ります。
つまり右の方へ傾けるような折り方をすると、左の角が上になるってことですね。
太陽が昇ってくることを喜び、新しい一日が良い日となるよう願いを込めたのですね。
このように、天ぷらの敷紙とはいえ、奥深い意味があるんだなぁと感心しました。
それでは最後に、ちょっとおしゃれな敷紙の折り方をお伝えします。
「鶴」と「桜」です。可愛い敷紙で季節感を出してみてはいかがですか?
また家庭では敷紙の代用としてキッチンペーパーを使うことが多いと思います。
キッチンペーパーでも鶴に折ったり、桜の形に切ったりして楽しむのも素敵なんじゃないでしょうか。
天ぷらの敷紙のおしゃれな折り方
鶴の折り方と桜の形に切る敷紙をご紹介します。
鶴の折り方
半紙を使ったので、ちょっと見にくくてすみません。
わかりにくかったかもしれませんが、簡単なので、きっと大丈夫だと思います。
桜の花の形
そして次に桜の花の形に切ってみます。
折り紙を使ってみましたが、天ぷらの敷紙をまず正方形に切ります。
色のついた方を中側にして二つに折ります。
下の写真のように、向かって右側に折り目をつけます。
少し細かいですが、お分かりになったでしょうか?
時には鶴や桜の形の敷紙に天ぷらをのせたら、いつもとちょっと気分も違っていいかもしれませんよね。
まとめ
天ぷらの敷紙の折り方には慶事用と弔事用があります。
- 慶事用は、左側の角を高くして、右側に傾けて折ります。
- 弔事用は、右側の角を高くして、左側に傾けて折ります。
そして
- 着物の右前、左前から来ている
- 中国の古くから伝わる言葉から来ている
の2つが主な由来といわれています。
日本では慶事と弔事のとき、何かを逆にすることで気持ちを表すことがよくあります。
なので間違えてしまうと、全く真逆の意味になってしまい、相手の方に嫌な思いをさせてしまう可能性もあります。
ですが、天ぷらの敷紙とはいえ、ちょっとしたことで相手へさりげない心遣いをするのは、日本の素敵なところだと思います。
意味を理解して、ぜひ覚えておきたいですね。
コメント
折り方の説明、頭悪すぎ
線を合わせるように折るところを角と角に点を書いたり、折り線じゃないところに線を書いたり。
本当にすみませんでした。
画像がいくつか消えていて気が付きませんでした。まだわかりにくいかもしれないので、改善する点は改善していきます。
ご指摘ありがとうございました。
折った紙見た目、右肩下がりでも
いいんですか?
商売してる人、右肩下がり
いやとかないんですか?
いれません 様
コメントありがとうございます。
ブログに書かせていただいた敷紙の折り方の由来はいくつかあり、それも日本や中国の古くから伝わってきたとされています。
そしてて今回ご質問いただいたのは、右肩下がりは良くないのではないか、ということですが、
調べてみたところ、右肩上がりとか右肩下がりは、20年ぐらい前から使われるようになった言葉のようです。
右肩上がりは、そもそもグラフやチャートで右に行くほど数値が上がり段々と良くなる状態のことをいうのだそうです。
そして右肩下がりはその逆ということになります。
なので、右肩上がりや右肩下がりは最近の言葉で、敷紙の吉凶の折り方が発明された頃とは、全く時代が違うということになります。
書かせていただいた吉凶の折り方は、昔から一般的に言われているというだけで、お寺や地域によっては違うところもあるのだそうです。
なので、右肩下がりは良くないと思えば、それもまた正解なのだと思います。
ただ天ぷらの下にしく敷紙一つにも、いろんな言われがあり、受け継がれているところがまた素敵だなぁ、と思いました。
説明が下手で、わかりにくかったら、本当にごめんなさい。
ブログを読んでいただいて、ありがとうございました。