天然酵母パンというと、自然の恵みいっぱいの健康に良さそうなパンというイメージがありますよね。
対してドライイーストのパンは人工的で不健康そうなパンのイメージをもっていませんか?
でも実は天然酵母もドライイーストもどちらも自然界に存在している野生の酵母なんです!人工的に作られたものではなかったんですね。
ではこの2つの違いはいったい何でしょうか?
両者の違いを知ることでパン作りの幅が広がりもっと楽しくなるかもしれません。
今回天然酵母とドライイーストの違いについてまとめてみましたので、参考にしてみてください。
Contents
天然酵母とドライイーストの違い
「イースト」というと「酵母」とは違って、人工的に作れらた体に悪いもののようなイメージを持ってしまう人もいると思います。
「イースト」という言葉は英語の「酵母」を意味し、れっきとした自然界に存在している野生の酵母だったんです。
天然酵母とイーストの最大の違いは
- イーストはパン作りに適した酵母を1種類のみ人工的に集め純粋培養したもの
- 天然酵母は様々な酵母菌が共生しているそのままの状態でパン作りの酵母としたもの(そのため酵母以外の酢酸菌や乳酸菌も含まれている)
この違いからそれぞれのパン作りの過程や出来上がりの味や食感に違いが出ます。
天然酵母やイーストにはそれぞれいくつか種類があります。
因みにドライイーストというのはイーストの種類の中で一番手軽なインスタントドライイーストを意味することが多いです。
パン作りをしたことのある人ならだいたい最初はお世話になりますよね。
なので「天然酵母」と「イースト」の違いということで解説していきますね。それでは種類などについて詳しく見ていきましょう。
天然酵母
天然酵母の場合は様々な種類の酵母が共生しています。その状態のままパン作りに使うので、他の酵母の勢力に影響され、イーストに比べ発酵に時間がかかってしまいます。
また発酵力が弱いために柔らかいパンにはなりません。
ですがそのいろいろな種類の酵母などの影響により、独特の風味や香り、食感が生まれます。
手間はかかりますが、イーストでは味わえない旨みやもっちり、どっしり感が天然酵母パンの魅力です。
そしてその手間隙の行程を楽しむのも魅力の1つでもあるようです。
天然酵母には2種類あります。
- ドライタイプの天然酵母
- 自家製酵母
です。個々に解説していきますね。
ドライタイプ
この天然酵母は乾燥させて粉末になっているため、休眠状態なので「種起こし」といって眠っている酵母を起こし、パン作りのできる状態にしてあげる必要があります。
「種起こし」には丸1日ぐらいかかり、一度起こした酵母は冷蔵庫で1~2週間ぐらい保存ができます。
よく知られている市販のものには、「あご天然酵母」や「ホシノ天然酵母」があります。
自家製酵母
ドライタイプの天然酵母は酵母職人が作った酵母を粉末状に乾燥させたものですが、酵母を自分で手作りすることもできます。
瓶の中で野生の酵母菌(果物、野菜、ハーブなどに付着している酵母菌)を自分で培養することになります。
酵母は果物などの糖分を餌に増殖するので、糖分の多いものが作りやすいようです。オイルコーティングされていないレーズンがおすすめ度が高いですね。
様々な食材で手作りできますが、中にはパン作りには向かない酵母もあるようです。
いろいろ試してみるのも、思わぬ発見があったりして楽しいかもしれませんね。
イースト
イーストはもともと自然界に存在している野生の酵母の中からパン作りに最適なものを1種類だけ人工的に集めて、純粋培養したものです。
いろいろ混じっている天然酵母と違って、パンに適した酵母を単独で培養しているので、癖が無く発酵力が強く安定していて使いやすさが特徴です。
天然酵母は他の材料をいろいろ入れる調理パンなどには不向きですが、イーストの場合はどんなパンにも使うことができます。(イーストの種類によっては得意とするパンの種類があります)
イーストには2種類あり、そのうちドライイーストの中に更に3種類あります。
- 生イースト
- ドライイースト(ドライイースト、インスタントドライイースト、セミドライイースト)
です。こちらも個々に解説していきますね。
生イースト
生イーストはインスタントドライイーストを使った場合に比べて、香りが良くふわふわしたパンになります。
発酵力が強く、パン屋さんで売られているようがパンが作れます。
イーストには「低糖生地用」と「多糖生地用」がありますが、生の場合はどちらにも使えます。
その反面生イーストの場合、賞味期限が長くても2週間位しかないことが多く、冷凍保存もできません。
種類によってはパン生地の状態で冷凍できるものがあり、これは前日までに一次発酵まで済ませ冷凍保存することで、翌日のパンが焼きあがるまでの時間が短縮できるのが利点です。
家庭でというよりは毎日たくさんパンを焼いているパン屋さん向けという感じです。
生イーストはホームベーカリーには向かないので、パン作り初心者にはおすすめできません。
でも中にはホームベーカリーで生イーストを使ってパン作りをしている人もあり、最初に予備発酵させてから使うなど工夫することで、美味しいパンが出来上がっているようです。
パン作りに慣れてきたら試してみると良いですね。
ドライイースト
ドライイーストには3種類ありますが、同じ種類とはいえ扱いなどがかなり違ってきます。
ドライイースト(予備発酵必要)
ドライイーストは生を加熱して加工されるため一部のイーストが死滅してしまい発酵力が弱まります。ですがこの死滅したイーストがパンを美味しくしてくれます。
予備発酵が必要で他のドライイーストと比べて扱いづらい面がありますが、どんなパンにも対応できるオールマイティなイーストです。
このイーストでフランスパンを作ると、適度な軽さと甘味のある美味しいパンになるそうですよ。
インスタントドライイースト(予備発酵不要)
インスタントドライイーストはそのまま粉に混ぜることができます。最も手軽で一般的、スーパーでよく見かけるのがこのタイプで、初心者向きです。
発酵のピークに達するまでに時間がかかるので、長時間発酵のハード系のパンによく使われます。
メーカーによってインスタントドライイーストと表示されていたり、ドライイースト(予備発酵不要)という表示で売られています。
セミドライイースト(予備発酵不要)
セミドライイーストは生イーストのようにふわふわのパンが作れて、インスタントドライイーストのように手軽に使える両方の良いところを併せ持ったイーストです。
保存方法は常に冷凍保存です。
インスタントドライイーストとセミドライイーストには「低糖生地用」と「多糖生地用」があります。
*イーストは生地に含まれる糖をエサとして活動するので、糖分の量で発酵に影響がでるため「低糖生地用」と「多糖生地用」を糖分の量に応じて使い分けることが必要です。
その他に「天然酵母」のように自然のままの環境でありながら「イースト」のように単一酵母である特別な酵母があります。
これについても次にご紹介しますね。
白神こだま酵母ドライ
白神こだま酵母は白神山地から発見された単一の酵母です。
この酵母は粉末状で種起こしがいりません。粉末に対して約3倍の30~35℃のぬるま湯に振り入れて5分ほど待ちます。その後しっかり溶かして他の材料に混ぜて使います。
もともと持ってる発酵力の強さはインスタントドライイーストに負けません。
インスタントドライイーストは人工的に発酵力を強めていますが、白神こだま酵母は自然のままその他の添加物なども一切加えられていません。
そしてトレハロースという糖分を多く含むので、焼きあがったパンはほんのり甘くしっとりしています。
グルテンの少ない製パンに不向きな国産小麦粉とも相性がよく、ふっくらとしたパンが焼き上がります。
白神こだま酵母は初心者にも扱いやすい酵母です。決して安いものではないですが、使うと手放せなくなる人もいるようです。是非試してみてください。
また同じページにホシノ天然酵母もあるので、いろんな酵母でパン作り楽しんでみてくださいね!
⇒楽天市場 天然酵母
「天然酵母」か「「イースト」かという話で、元をたどればどちらも野生の酵母でした。
ではこの2つの境界線は何かとというと単一酵母かいろいろな酵母や菌が共存しているかということでした。
ですが単一酵母であっても自然の姿のままと言う意味では「白神こだま酵母」も天然酵母といえますね。実際に天然酵母のドライ版と表記しているところもあります。
酵母菌ではないのですが、最近久しぶりに行ったパン屋さんについてお話します。
お気に入りのパン屋さんで、お酒の麹菌を使ってパン作りをしているところがあります。
麹菌と酵母菌はまた違ったもので、発酵ではなくお酒のように醸造という過程でパンが膨らむのだそうです。なのでお酒の風味が後味にほんのり感じます。
先日久しぶりに買いにいき、焼きあがって2日目というパンを買ってきました。
買った日に食べた時はボソボソしていましたが、次の日食べたらしっとりしていて、また次の日食べたらしっとりしていて後味にお酒の風味を感じました。
このパンは日持ちがとてもよく、毎日味が変わり風味が増していく不思議なパンです。
パンて奥が深いんだなあと感じた体験でした。
最後に簡単ではありますが、主なものを表にまとめてみました。
酵 母 名 | 予備発酵 | 食感やおすすめなパン | 保存方法 |
生イースト | すると更に良い | 外側はさくさく、中はふわふわソフト系(食パン、菓子パン、バターロールなど) | 冷蔵保存 2週間位 |
ドライイースト | 必要 | しっとりとした食感 オールマイティに使える | 冷蔵保存 未開封で2年 開封後は約1ヶ月 |
インスタントドライイースト (初心者向け) | 不要 | もっちりとした食感 低糖生地用はハード系(フランスパン、食パンなど) 多糖生地用はソフト系(食パン、菓子パンなど) | 冷蔵保存 未開封で2年 開封後は約1ヶ月 |
セミドライイースト | 不要 | しっとりとして、ふわふわ食感 低糖生地用はハード系(フランスパン、食パンなど) 多糖生地用はソフト系(食パン、菓子パンなど) | 冷凍保存 未開封で2年 開封後は半年 |
天然酵母パン(ホシノ天然酵母やあご天然酵母など) | 必要 | 【ホシノ天然酵母】 麹由来で味わい深く、しっとり感がある 【あご天然酵母】 すっきりと癖がなく、もちもち食感 | 冷蔵保存 1週間以内 |
白神こだま酵母 ドライ | 不要 | 外側はパリッと、中はふんわり オールマイティに使える | 冷蔵保存 未開封約1年半 開封後3ヶ月位 |
まとめ
「天然酵母」は自然のもので「イースト」は人工的なもののようなイメージがありましたが、実はどちらも自然界にある野生の酵母ということでした。
2つの違いは「天然酵母」は自然界に存在しているそのままをパン酵母として使ったものなので、様々な酵母菌や他の菌も共存している状態です。
対して「イースト」はパン酵母として最適な酵母を1種類だけ純粋培養したものでした。
どちらも自然の酵母ですが、その環境の違いから発酵時間や、出来上がりの風味や食感などに違いが生まれます。
そして「天然酵母」の種類としては、酵母職人が作ったものを乾燥したものや、自分で作る自家製酵母があります。
「イースト」の種類は生イーストとドライイーストがあり、ドライイーストにはドライイースト、インスタントドライイースト、セミドライイーストの3種類があります。
イーストも種類によって得意とするパンの種類があったり、扱い方も違ってきます。
いろいろな酵母を試して同じパンでもどんな風に違いがでるかやってみるといいですね。
実は私はまだインスタントドライイーストでしかパンを作ったことがありません。今回かなりイーストについて詳しくなったので、いろいろ試してみようと思います。