料理に真っ赤に染まるぐらい唐辛子をかけるという人いますよね。
辛いのがあまり得意でない人にとっては信じられない光景です。
辛いものが平気という人は、あまり辛味を感じないのだそうです。なぜそんなに唐辛子を振りかけても辛味を感じないのでしょうか。
実は「辛味」というのは『味覚』ではなく『痛覚』なのだそうです。因みに味覚は甘味、酸味、苦味、塩味、うま味の五味ということです。
この痛覚は辛い物を食べ続けるとだんだん辛さに慣らされていきます。そして辛い物をよく食べる人は少々の辛さは平気になっていくってことなんですね。
そこで今回辛味を感じないということについてどういう仕組みか詳しく解説していきます。
参考にしてみててください。
Contents
辛味を感じないのはなぜか?
辛味を感じないという人には次の2種類があります。
- もともと辛味に強い体質の人
- 辛味に慣れて強くなった人
これについて詳しく見ていきましょう。
もともと辛味に強い体質の人
辛味を感じる受容体(刺激を受け取る細胞)の数は人によって違いがあり、もともと辛さに強い体質という人がいます。また逆に辛さが全く受け付けないという人もいます。
辛味に慣れて強くなった人
辛味を感じる受容体は数が多くなったり少なくなったり変化するので、訓練することで辛味耐性を上げることができます。
辛い物をよく食べる習慣のあるタイなどでは、幼いころから唐辛子を少しずつ食べさせて徐々に量を増やして慣らさせることで、辛味に強くなるのだそうです。
もともと辛い物が平気というわけではないということです。
辛さに慣れてエスカレートする仕組み
辛さを感じる受容体というのは他の味覚の受容体とは異なり痛覚です。
辛い物を食べると脳は辛さを痛みとして受け取ります。すると脳からアドレナリンという痛みを麻痺させる物質が分泌されます。
このアドレナリンが分泌されると体は興奮状態になり、その働きを抑えるために今度はエンドルフィンという物質が分泌されます。
このエンドルフィンは脳内麻薬とも言われ、鎮静作用があると同時に快感をもたらしてくれます。
この感覚を味わうとまた同じように快感を味わいたいと辛い物をま
た食べたくなることで癖になってしまうというわけです。
辛い!
→ アドレナリン分泌 (筋肉を興奮させ、痛みを麻痺させる)
→ エンドルフィン分泌 (興奮状態を鎮静させ、快感をもたらす)
→ また快感を味わいたい!
→ 辛いがまた欲しくなる
更には辛い物を食べ続けていると辛さに慣れてしまうので、同じ辛さでは満足できずにどんどんエスカレートしてもっと辛い物を求めてしまうことになっていきます。
では辛い物が平気だからといってたくさん食べたり激辛のものを食べても、体は大丈夫なのでしょうか?
辛い物が平気だからとたくさん食べても大丈夫?
辛味の成分の代表的なものといえばカプサイシンですね。
このカプサイシンは食欲を増進したり、脂肪を燃焼することでダイエットにも効果があるといわれ、適度に食べるといろいろ良い効果が期待できます。
ですが辛い物は癖になってついつい食べ過ぎてしまうことがあります。果たして舌では辛さが感じなくても体の他のところでは影響はないのでしょうか。
辛い物を食べ過ぎたら
辛い物を食べ過ぎてしまうと
- 食道や胃壁を刺激し胸やけや胃痛になることがある
- 腸や肛門を刺激し下痢や腹痛、痔になることがある
- 強い刺激で味覚細胞をこわしてしまうことがある
といったことになりかねません。
辛い物を食べれるようになりたいからと無理して辛い物に挑戦するという人もいるかもしれませんが、ほどほどにしたほうが良さそうですね。
それにもし辛さのせいで他の味が感じなくなってしまったら、せっかくの美味しい料理を楽しめなくなってしまいます。
辛い物を日常的にたくさん食べている韓国やインドでは胃がんの発症率が高いそうです。辛い物が原因かどうかははっきりしていないようですが、影響があっても不思議ではありません。
自分の体と相談しながら、食べ過ぎてしまわないよう適量で美味しくいただきたいですね。
そしてもし思いのほか口の中が辛くなってしまったら、辛さを和らげてくれる物があるので、知っておくときっと役に立つと思います。
辛さを和らげてくれる食べ物や飲み物
冷たい飲み物を飲むと辛さを和らげることができます。
その他にカプサイシンは油に溶けやすくて、タンパク質にくっつく性質があるのだそうです。
そのため
- ヨーグルト
- 牛乳
- アイスクリーム
などを食べることで辛さを和らげることができます。
またワサビや辛子のようなツーンとする辛さは揮発性で長続きしないので、お茶や水で和らぎます。
辛味は体の不調などから急に感じにくくなることもあります。次にそれはどんな時か見ていきましょう。
舌がむくむと辛味が感じにくくなる
何らかの体の変化や不調などで体がむくむことがありますが、この時舌も同時にむくんでいます。すると舌の感覚が鈍くなり、味覚や辛味の痛覚も鈍感になります。
もし舌の周りがギザギザして歯型がついていたら、それは舌がむくんでいる状態です。
舌がむくむ原因は
- 生理前の女性ホルモンの作用
- 冷えにより血行やリンパの流れが悪い
- 体が疲れている
- 腎臓の異常や甲状腺機能の低下
など関係しています。詳しく見ていきましょう。
生理前の女性ホルモンの作用
これは女性の体の場合ですが、生理が始まる2週間前ぐらいから女性ホルモンのプロゲステロン(黄体ホルモンとも呼ばれます)の分泌が増えます。
このホルモンは妊娠しやすい状態にする働きがあるため、栄養や水分をためこみ、その結果体がむくみ舌も同時にむくみます。
生理前に濃い味のものが欲しくなったり、いつもより辛い物が平気に感じるという場合、プロゲステロンの作用が関係しているわけなんですね。
冷えにより血行やリンパの流れが悪い
冷えは新陳代謝を悪くし、血流やリンパの流れも悪くしてしまいます。すると体はむくみやすくなるため、舌も同じようにむくみがちになります。
むくみは女性に限らず男性にも増えているので、他人事とは思わずに体を冷やさないよう心がけましょう。
体が疲れている
体に疲労物質がたまってくると、それが原因でむくみを引き起こすことがあり、舌にもむくみが出ます。
疲れがたまっていると感じたら、ゆっくりお風呂につかったり、十分な栄養や睡眠などをとったり、意識して体の休息を心掛け、疲労物質がたまったままにならないようにしましょう。
腎臓の異常や甲状腺機能の低下
腎臓や甲状腺機能に何か異常がある場合に体や舌にもむくみが出ることがあります。
腎臓の場合は、むくみ以外にオシッコの出が悪くなるということも起きてきます。
また甲状腺の機能が低下すると、むくみの他に皮膚がカサカサしたり、毛が抜けるといったことも起きたり、他にも無気力感や疲労感、眠気におそわれるといった症状も起きてきます。
このように体や舌のむくみの陰には腎臓や甲状腺などの病気が隠れている場合があります。
体がむくみやすかったり、味覚が変わってきたり、また上記のような他の症状など少しでも気になることがあれば、自己判断はせずにまずはお医者さんに受診することを強くお勧めします。
まとめ
辛味を感じないという場合には
- もともと辛味に強い体質の人
- 辛味に慣れて強くなった人
の2種類があります。
辛味は他の味覚とは異なり痛覚で感じています。そのため辛味は痛みとして脳に伝わります。
すると脳から分泌される物質の作用により、辛い物をもっと欲しくなるという状態になり、辛い物は癖になっていきます。
辛い物は食べ続けると徐々に鍛えられ、今までよりもっと辛い物を食べることができるようになっていくといいますが、胃や腸などでは刺激が強いことには変わりありません。
自分の体の状態を見ながら、無理をしないで美味しくいただきたいですね。